寝っとランナーお燐

Metaの侵襲 個人最適化された広告は反プライバシー性を正当化するのか

2025/6/25

https://gigazine.net/news/20250604-meta-yandex-tracking/

このような記事が出た。「スマホのアプリと通信するコード」を多くのウェブサイトに埋め込むことで、ブラウザによるプライバシー保護のための機能をかいくぐる形で個人の行動を追跡していたみたい。 ウェブサイトをまたいでCokkieを管理するサードパーティCookieは個人の行動を収集し精確なプロファイリングを可能にすることから、広告効果の測定や、ウェブサイトを介して個人に表示する広告の選定なんかに使われてる。興味関心に沿った商品やサービスの広告をお届けできるとして、このサードパーティCookieの使用を広告代理店が正当化する。

MetaはFacebookの時代からその反プライバシー的なアプリケーションの運用を指摘され続けてる。

広告代理店としての"正当な"仕事

広告代理店として積極的に個人情報の収集とプロファイリングを行っていることについて、「気分が悪い」「プライバシーの侵害だ」といった方向で愚直に糾弾するのは分が悪いと思う。だって広告の宣伝効果を改良するのが広告代理店の仕事であって、その上で広告代理店の存在は受容されているし、これらの気分が悪い行動は広告代理店の仕事の範疇を出ていないから。

だけどプライバシーに対して極めて侵襲的であるという状態は覆しようがない。たとえばMetaのSNSは情報インフラとして重要な立場にある。情報をInstagramでしか公開していない店が当たり前に存在するし、今はどうかわからないけど、Facebookは現実での人間関係を維持するために(今となっては高齢者になった)人々に利用されてきた。Threadsは…… うーん、ネット広告の影響で何かを購買する(できる)層がいない気がする。あれがTwitterの代替として利用される限りはね。

https://wired.jp/article/meta-twitter-threads-bluesky-spill-hive-mastodon-privacy-comparison/

このウェブサイトでは、Threadsが収集すると明言されているデータの一覧と、他SNS、主にFediverseにその身を置くものとの比較が行われてる。タイムラインに標示する広告をパーソナライズするSNSは収集するデータが多く、Threadsはその中でも突出しているね。

気になる店の情報がInstagramにしかなかったり、リアルの人間関係の維持にInstagramやFacebookを使わざるを得なかったり。つまりMeta社のものを使う蓋然性がない(≒マクガフィンである)にもかかわらず情報がそこにあるからアプリを入れなければならないという状態で受動的にインストールさせられるアプリとなりうるわけ。そんな成り行きで大量の個人情報を収集されプロファイリングされるようなプライバシーポリシーに同意するなんて、控えめに言ってイカれてる。これは人質商売だ。

Metaの反プライバシー性に関する別の事例

Meta AIとGeminiの度を超えた情報チューチュー🐭

https://surfshark.com/research/chart/ai-chatbots-privacy

Meta AIを含めたLLMを扱うサービスがそれぞれどのような情報をユーザーから収集しているかを調べた記事もある。情報の種類を色分けして、その数を積算してる。GoogleのGeminiとMetaのMeta AIが二大巨頭だね。Meta AIは使ったことがないけど、Geminiを使っているとき、不自然にCPUの使用率が高くなることがある。LLMとの会話に必要な処理の一部をクライアント端末にやらせているのかと思ったけど、これだけ巨大なLLMを動かしていると、ネットワークを介したクライアントという非力なコンピュータでできることなんて知れてるから、やっぱり個人情報の収集と整理を行ってるんじゃないかって、あたいは疑ってるよ。

謎のバックグランドアプリ"Meta services"

iOSではわからないけど、Androidにはいつの間にか"Meta services"っていうアプリがインストールされていて、バックグラウンドに常駐していたりする。多くのスマホにMetaによる他の大量のアプリと一緒にプリインストールされてるみたい。アンインストールできないけど、アプリ一覧から探して無効にできる。 数ある"不躾な"Meta社製アプリの中でもこれだけが極めて曖昧な名付けになっているから、これまでのMetaの正当化できないプライバシー侵害から考えて、きっとユーザーに対して後ろめたいことをするためのスパイウェアなんだろうなって思うよ。最初に示した、ウェブサイトとアプリとの間で行われる通信を行うそのアプリとしてこれは最適じゃないかと思ったけど、実際に行っているのはFacebookとInstagramのアプリみたいだね。

力業で常駐していたFacebook

https://gigazine.net/news/20151016-facebook-app-steal-iphone-battery-life/ Facebookアプリがバックウランドプロセスを終了されないように、無音の音声を再生することで常にアクティブであるとiOSに見做させるということを昔していたよ。 ユーザーの必要性にそぐわない出しゃばった真似はただでさえシビアなスマホのバッテリーを浪費することになるね。

広告は商品を選ばせるのではなく、欲させる

今のネット広告自体を嫌う理由がこれ。たとえば車を選ぶとき、マツダのCMがまず頭に浮かんだのでマツダの車から調べる…… というのが広告のイメージ。 だけどネット広告はどうも性質が違う。街中の至る所にタバコの広告看板を立てて、ニコチンへの渇望を自覚させタバコ屋へ走らせるというのがネット広告の実際に近い。新規顧客を獲得するのと同時に、既に顧客となった人にフラッシュバックを起こさせる。だからどこへ行っても同じ製品の広告がやたらと貼り付けられているわけ。そしてこれが、Metaを含むネット広告代理店による精緻なプロファイリングによって、こうしたヤク漬けの状態にできる見込みのない者を的確にはじくことで、確実なヤク漬けを可能にしている。依存性の高い既知の製品は、広告するにあたって厳しい規制がかけられている。だけど依存先なんて人類の数だけあるから、手を替え品を替え依存症患者に依存物を意識させ続けるに決まってるし、先述の通り、現状がそう。

広告は必要な人に自分の存在を教えるのにちょうどよくて、広告代理店はその需要を探し出して結びつけるのが仕事だけど、依存という病的な状態を悪用して、存在しない、してはいけない需要を無から作り出すのはEvil極まりない。製品を買うのではなく、買わされている。

覚醒剤の売人は、覚醒剤を断ち切ろうとして頑張っている人にあえて連絡を取り、覚醒剤の購入を誘う。今のネット広告は依存物のショーケースだよ。